脆弱性診断を実施したいけれど、何をすれば良いのか分からずに悩んでしまう企業は多いです。そんなときには「独立行政法人 情報処理推進機構(以下IPA)」のようなセキュリティ関連の組織からリリースされる情報やドキュメント類を参考に、脆弱性診断の基本を理解する方法もおすすめです。そこで本記事では、IPAの概要や脆弱性診断における役割などについて解説します。脆弱性診断を検討する際には、IPAが提供している情報・ツールについてもぜひチェックしてみてください。
IPAとは?
もしかすると「IPA」を認知していない方もいらっしゃるかもしれません。まずは、IPAの基本情報について解説します。
IPAとは「独立行政法人 情報処理推進機構」の略称
IPAとは、「独立行政法人 情報処理推進機構」の略称です。安全で利便性の高い「頼れるIT社会」の実現に貢献することを目指している団体であり、さまざまな書籍・刊行物の掲載などを実施しています。これからの社会に欠かせない存在であるデジタル人材の育成にも力を入れ、多くの企業を支援しています。
以下に公式サイトへのリンクを貼っておきますので、是非ご参考ください。
IPAはセキュリティに関するさまざまな情報を公開している
IPAは、セキュリティに関するさまざまな情報を公開しています。IPAの情報を参考にすることで、セキュリティに関する知識の習得や、セキュリティ意識の向上につながります。脆弱性診断を実施する際にも、IPAの提供する情報やツールが役立つことは多いです。
IPAが提供している情報・ツール
IPAは公式サイト内で、さまざまな情報・ツールを提供しています。以下では、IPAが提供している情報・ツールの詳細を解説します。
「安全なウェブサイトの作り方」
まずは「安全なウェブサイトの作り方」についてご紹介します。こちらは適切なセキュリティを考慮したWebサイトを作成するための資料で、ウェブサイトのセキュリティに関するものの中で、非常に有名なドキュメントです。IPAが届出を受けた脆弱性関連の情報から、届出件数の多かった脆弱性や影響度が大きい脆弱性を取り上げています。改訂第7版では「ウェブアプリケーションのセキュリティ実装」「ウェブサイトの安全性向上のための取り組み」「失敗例」といった項目を作成し、ウェブサイト作成におけるセキュリティの課題と解決法を提供しています。
別冊では「安全なSQLの呼び出し方」 「ウェブ健康診断仕様」といった情報をまとめて、より高いセキュリティ環境の構築をサポートする資料としています。
「IoTのセキュリティに関するIPAの調査報告書やガイドライン」
「IoTのセキュリティに関するIPAの調査報告書やガイドライン」とは、IPAの公式サイト内で公開されているIoTに関するセキュリティ情報です。IoTに関するIPAの調査報告書をまとめて掲載し、詳細のリンクに飛べるようにしています。また、「IoT開発におけるセキュリティ設計の手引き」も公開し、IoT機器およびその使用環境で想定されるセキュリティリスクと、具体的な対策についてまとめています。
IoTが浸透している昨今、そのリスクも認知されつつあります。しかし、具体的な施策の実行までできている企業が多いとはいえないことから、IPAが積極的に情報提供を実施し、IoTの効果的かつ安全な活用をサポートしています。
「脆弱性対策関連情報」
IPAは「脆弱性対策関連情報」を提供し、脆弱性のリスクと対策についての情報も発信しています。「共通セキュリティ設定一覧CCE概説」「共通プラットフォーム一覧CPE概説」「共通脆弱性識別子CVE概説」など、複数の解説を公開しています。企業が自社の環境に合わせて脆弱性対策を実施できるように、多種多様な情報を提供している点もIPAの特徴です。
「脆弱性体験学習ツール AppGoat」
「AppGoat」は、脆弱性の概要や対策など、基礎的な知識を実習形式で学べるツールです。学習テーマごとに演習問題が用意されていて、脆弱性の発見やプログラミング上の問題点の把握、対策手法の学習などを対話的に実践できます。個人学習向けツールと集合学習向けツールが展開されているため、用途に合わせて利用可能です。
脆弱性について深く学ぶ機会になり、自社の開発者のセキュリティスキルを向上させることにもつながります。
サイバーセキュリティ注意喚起サービス「icat for JSON」
「icat for JSON」とは、IPAが公開した「重要なセキュリティ情報」を、リアルタイムで配信しているサービスです。「icat for JSON」をウェブサイトで使用することで、IPAが公開した最新の「重要なセキュリティ情報」の一覧を、自動で取得して表示可能となります。例えば自社の会員向けのウェブサイトや社内のポータルサイトに設置することで、セキュリティ情報を素早く届けられます。
ウェブページにHTMLタグを埋込むだけで利用できるため、簡単にIPAの情報を自社サイトで活用できます。
「5分でできる!情報セキュリティ自社診断」
「5分でできる!情報セキュリティ自社診断」は、情報セキュリティ対策のレベルをIPAが数値化し、課題発見に使うためのツールです。情報セキュリティ対策の現状を把握したり、設問ごとの解説を参考にセキュリティに関する知識を深めたりできます。「診断編」として25の診断項目が用意されていて、内容をチェックすることで簡単に自社のセキュリティ問題を確認可能です。
診断項目ごとの点数を合計し、点数に応じた次のステップを参考にして課題解決を目指します。
IPAの役割
IPAは現代のIT社会において、重要な役割を担っています。以下では、IPAが現代でどのような役割を持っているのかを解説します。
サイバー攻撃情報やセキュリティ対策情報の発信
IPAはサイバー攻撃情報やセキュリティ対策情報を発信し、注意喚起を行っています。毎日世界中で起きているサイバー攻撃の実態を、正確に把握するために役立ちます。セキュリティの担当者だけでなく、すべての従業員がサイバー攻撃やセキュリティの重要性を認識していくことが重要です。そこで、セキュリティの担当者はIPAのサイトを積極的に活用して、情報発信していくのが良いのではないかと思います。
脆弱性診断におけるチェックリストの公開
IPAは脆弱性診断におけるチェックリストを公開し、企業のセキュリティ強化に貢献しています。セキュリティの強化をしたいけれど、具体的な方法が分からないケースは多いです。IPAのチェックリストはそういった企業にとって、有益な情報源となっています。また、IPAのチェックリストを基準にして、脆弱性診断サービスを提供しているベンダーも多数あります。専門的なサービスに使用されており、IPAのチェックリストは高い信頼性を獲得しています。
色々なチェックリストがありますが、先ほどご紹介した「安全なウェブサイトの作り方」に付随するチェックリストは下記ページに記載のリンク先よりダウンロードできます。
情報セキュリティ関連試験の実施
IPAは、情報セキュリティ関連試験を実施する形でも社会に貢献しています。「情報処理技術者試験」「情報処理安全確保支援士試験」が実施され、セキュリティについて高いスキルを持つ人材を認定しています。「情報セキュリティマネジメント試験」は、「情報処理技術者試験」の新しい区分として試験が実施されています。
IPAの提供する資格を持つ人材は、高い能力を持つと客観的に判断できます。そのためベンダーに脆弱性診断を依頼する際には、試験の合格者がいるかが1つの基準になり得ます。「Proactive Defense(プロアクティブ ディフェンス)」の診断メンバーには、情報処理安全確保支援士が在籍しております。
IPAの診断基準に準拠したサービスを提供する企業も多い
先に解説したように、IPAの診断基準に準拠したサービスを提供する企業も多いです。以下では、IPAの診断基準が多くの企業で使用されている理由を解説します。
IPAの診断基準には高い信頼性がある
IPAの診断基準には高い信頼性があり、セキュリティ向上における目安になっています。そのため脆弱性診断サービスを提供する企業も積極的に取り入れて、分かりやすい基準として活用しています。「Proactive Defense」もIPAの診断基準を利用し、「IPA基準22項目診断」を提供しています。セキュリティ問題における明確な基準となる要素を提供できていることから、今後もIPAの診断基準は広く利用されると予想されるでしょう。
IPAの診断基準をクリアすることが一つの目標になり得る
IPAの診断基準をクリアすることが、セキュリティ向上に向けた1つの目標になり得ます。自社で脆弱性を把握する際にも、IPAの診断基準が参考になるでしょう。「IPAの診断基準をクリアできているか」「どの項目が自社にとって課題になっているのか」など、IPAを基準にセキュリティの現状について考えることが可能です。
脆弱性診断の必要性について
脆弱性診断は、あらゆる企業にとって欠かせないものとなっています。以下では、脆弱性診断の必要性について具体的に解説します。
セキュリティインシデントのリスクを下げるための対策になる
脆弱性診断は、企業のセキュリティインシデントのリスクを下げるための対策になります。企業にとって普段から脆弱性をチェックすることは、顧客情報や機密情報を守り、攻撃されるリスクの低減につながります。「セキュリティを向上させる」と一言でいっても、その方法はさまざまであり、明確な基準や課題を理解できていなければ効果的な施策の実行は難しいです。
脆弱性診断を実施することで、対象システムに関して問題点の有無およびその危険度、改修方法を具体的に把握することができます。改修方法に即して対策を実施することは、課題に対する効果的な施策の実行に繋がります。
セキュリティ対策にかかる費用を抑えることも可能
事前に脆弱性をチェックして対策を取ることで、セキュリティ対策にかかる費用を抑えることも可能です。攻撃を受けてから対策をすることになると、被害者への対応やシステム改修、あるいはそれらに割く社員の人件費などを勘案すると非常に多くの費用が必要です。被害状況によっては、情報漏洩に対する賠償金なども発生するリスクがあり、企業の存続に関わる可能性も否定できません。
脆弱性診断を事前に実施することは、結果的にセキュリティ関係のコストを抑えることになり得ます。
内部脅威向けのセキュリティ対策にも注目が集まっている
近年は外部からの攻撃だけでなく、内部脅威向けのセキュリティ対策にも注目が集まっています。内部からのハッキングやヒューマンエラーを防ぐためにも、脆弱性診断は必要とされています。脆弱性の存在によって内部から情報を引き出されたり、予期しない行動による問題が発生したりといったリスクも懸念されます。内部向けの対策の一環として、脆弱性診断を実施することも検討されるでしょう。
脆弱性診断を実施する際のポイント
脆弱性診断を実施する際には、いくつかのポイントがあります。以下では、脆弱性診断におけるポイントについて解説します。
脆弱性診断の計画を立案する
脆弱性診断には、費用や時間がかかります。事前に脆弱性診断の計画を立案し、計画的に診断を進めることが重要です。脆弱性診断の結果、問題がみつかった場合にはその対処にもコストがかかります。対策にかける時間も考慮して、余裕のあるスケジューリングが求められます。
信頼できる脆弱性診断を実施しているサービスに依頼する
脆弱性診断は、「信頼できる脆弱性診断を実施しているベンダーかどうか」という点を重視して、利用するサービスを選別することがポイントです。具体的に選定ポイントをあげるとすれば、「どのような診断基準をもとにサービス提供しているのか」や「充分な実績があるかどうか」といった点が、重要な判断基準になります。
「Proactive Defense」では、高度認定資格であるGIAC資格などの取得者が在籍する、最高技術レベルのチーム体制で脆弱性診断を実施しています。「IPA基準:22項目診断」と「経済産業省基準:31項目診断」を軸に、適切な診断を実現可能です。多種多様な業界・規模の企業の診断を実施し、1,000サイトを超える実績があります。信頼できるベンダーをお探しの際には、ぜひ「Proactive Defense」にご相談ください。
脆弱性診断なら「Proactive Defense」にお任せ
「Proactive Defense」は、明確な診断基準と豊富な実績のある情報セキュリティサービスです。マニュアルによる丁寧な検証を行い、診断員が実際に検証したうえで脆弱性の真偽を確認・判断しています。診断結果を分かりやすく記述したレポートにまとめ、サイトの現状と問題点を正確に報告します。
脆弱性がみつかった場合には、具体的な対策も提案できるため、その後の対応もスムーズに行えます。まずは「Proactive Defense」のホームページや資料請求をご覧いただき、お気軽に脆弱性診断についてご相談ください。
まとめ
IPAは企業のセキュリティ問題や脆弱性診断において、重要な情報を多数提供している団体です。IPAのチェックリストはセキュリティサービスを提供する企業でも活用されているため、その存在は国内で重要なものとなっています。この機会にIPAサイトをチェックし、セキュリティ問題の解決や脆弱性診断の実施に備えてみてはいかがでしょうか。
「Proactive Defense」は、IPAの基準を活用しつつ、高い技術を持つ専門チームによる脆弱性診断を実施している情報セキュリティサービスです。高度な水準で脆弱性診断をはじめ予防対策から事故対応まで一気通貫でご支援が可能ですので、自社のセキュリティに課題を感じている場合には是非お声がけください。